レンタルサーバーの運営管理は、サーバー会社がおこなってくれます。
ですからハウジングサーバーに比べて極点に言うと、レンタルサーバーは運営管理を「丸投げ」することができるインフラです。
しかし、サーバー管理をすべてサーバー会社まかせにしてしまうと、取り返しのつかないトラブルに見舞われしまうこともあります。
ここではそんな身の毛もよだつような、レンタルサーバーで起こった怖い話を紹介していきましょう。
- 目次
- 1 背筋が凍るデータ消失編
- 1.1 データが消えるなんてあり得ない・・・いえいえ、ありました
- 1.2 あっては欲しくないけれど、避けられない天災
- 2 案外ミスする連携トラブル編
- 2.1 Webサイトが表示されない。その理由は・・・
- 2.2 SSLがインストールできない
- まとめ
背筋が凍るデータ消失編
1.1 データが消えるなんてあり得ない・・・いえいえ、ありました
それはWebサイトのリニューアルで、外注業者を選定していた時に起こりました。
実際にとある候補業者に来社してもらい、打合せをしていました。
私は会う前に、先方を把握するためにその会社のWebサイトにアクセスしていましたが・・・。
私:「御社のWebサイトですが、見れませんでしたよ」
制作会社:「はあ・・・」
私:「(軽く笑いながら)大丈夫なんですか?」
制作会社:「はあ、それがサーバーのトラブルで、データが飛んでしまって・・・」
私:「えっ、それは大変だ。バックアップは取ってたんでしょ?」
制作会社:「それが取ってなくてですね・・・」
当然その会社とは契約をしませんでした。Webサイトのデータを消失させてしまう制作会社とは、やはりお付き合いできません。
ただし、サイトのデータをバックアップしていない例は、一般の会社だと数多くあります。
今やWebサイトは企業の存在証明のようなもの。
サイトが消失してしまっていたら、信用はガタ落ちとなります。この例のように、何らかのサーバートラブルによりサイトのデータが消えてしまった、という報告は割とあります。
また消えてしまう可能性があるのはWebサイトだけでなく、電子メールや顧客データなど広範囲に渡り、その資産価値は高く、無くしてしまった場合の被害は甚大です。
データ消失の規模は大小さまざまですが、中には社会問題と言っていいほど深刻なニュースとなったケースもあります。そしてこうしたトラブルでサーバー会社側に賠償請求ができるかと言うと、必ずしもYESではありません。
約款により賠償の条件や上限金額など、さまざまな規約が設けられているのが一般的です。
被害をこうむった分すべてを補填してもらうのは、実質不可能と言っていいでしょう。
また仮にある程度の金銭的な補償を受けられたとしても、先に挙げたような顧客データなどの情報資産は、永遠に戻ることはありません。こうしたデータ消失の対策をするためには、「バックアップ」しかありません。
しかもこまめにバックアップしていくのが必要になります。
私がまだ社会に出て間もない頃、情報システム部門の担当者が毎晩せっせと基幹システムのデータのバックアップを行っていて、「大変だな」と思ったものです。
その数年後にシステム系の会社で私自身が顧客のWebサイトの運営、管理を担当していた時には、「データのバックアップを定期的に取るように」という指示が出ていました。
件の情報システム担当者のように毎日という高頻度ではなかったものの、指示通りバックアップ対応は行っていましたが、こうしたデータ消失の話を聞くにつれバックアップの大切さを痛感します。
1.2 あっては欲しくないけれど、避けられない天災
レンタルサーバーでデータが消失してしまう。その原因はどういったものが考えられるでしょうか。挙げていきましょう。
・設定やシステム上のエラー
・操作、運用のミス
・ウィルスなど外部からの攻撃
・大規模な停電や落雷の発生など
・大きな地震発生。
ここでは特に、「大きな地震発生」について見ていきたいと思います。
日本はここ最近、地震列島としての姿が浮き彫りになっているため、これによるデータ消失の可能性が高くなっていると考えるからです。
また私自身がある時に、この影響を目の当たりにした経験があるためです。
それは、某Webサービスがダウンしていたため、コールセンターに問い合わせたのがきっかけでした。
私:「Webサイトからの手続きができないんですけど、いつ直りますか」
オペレーター:「申し訳ございません。目途が立っておりません」
私:「わからないって、こちらは手続きを急がないといけないんですよ」
オペレーター:「申し訳ございません」
私:「一体どうしてわからないんですか」
オペレーター:「申し訳ございません。実は地震でサーバーの方がダメになりまして・・・」
私はそこから先は、何も言えなくなりました。
サーバーを分散させておけば良かったんだという人もいましたが、想定を超えるような地震が起きている昨今です。
それによるトラブルに対してクレームを言う気分には、とてもなりませんでした。
以前私が情報システム部門の管轄するWebサイトに携わっていた際、その部門長から「サーバーを借りるなら、データセンターの場所を必ず聞いてください」と言われたものです。
レンタルサーバーの場合はデータセンターを明示していないことも多いので非常に困りましたが、その時に理由として言われたのが「地震が多い地域だったらまずいじゃないですか」というものでした。
近年はどの地域も地震が多発してしまう状況なので、データセンターの場所を気にしても回避できるとは言い切れません。しかし確認できるようならば、しておくに超したことはないでしょう。
ただしやはり予期せぬ天変地異だけに、バックアップなどで自己防衛をする努力も怠らないようにしたいものです。
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2 案外ミスする連携トラブル編
2.1 Webサイトが表示されない。その理由は・・・
Webサイトが表示されない理由は、いくつか考えられます。
サーバーとの関連でいうと、最近有名になってきた「503エラー」です。
このエラーは、サイトへのアクセスが集中し過ぎたため、サーバー側でアクセス制限を設け、その間にエラーが出るというものです。
スペック選びの失敗、あるいは法人で使うレベルにないようなサーバーと契約したことが原因で起きるトラブルと言えるでしょう。
しかしここではそうしたシステム的なエラーではなく、設定をミスしたことにより発生する悲劇的なトラブルを紹介しましょう。
リニューアルでコンテンツのファイル群をアップしているにも関わらず、Webサイトが表示されなかったというケースです。
設定ミスでWebサイトが表示されない原因には、次のようなことが考えられます。
・ファイルに不備がある、アップ方法を間違っている。
・レンタルサーバーでのドメイン設定をうまくおこなえていない。
・DNS側で設定をミスしている。
この中から、一体どこに原因があるかをまずは特定していく必要があります。
そうでないと、違った箇所を闇雲に対処してただ時間の無駄になるからです。
まずはWebページが表示されるための、サーバー間のやり取りを確認しておきましょう。
ユーザーが自分のパソコンやスマホなどからURLを入力すると、DNSサーバーに問合せをして、それに紐づくIPアドレスが返されます。
そのIPアドレスをWebサーバーにリクエストすることで、Webページが表示されます。
Webページを表示するためのWebサーバーの役割を、一般的にはレンタルサーバーが担います。
(厳密にはアプリケーションサーバーやデータベースサーバー、画像サーバーに分かれていることもありますが、ここでは簡易にWebサーバーとひとまとめにしておきます)
そのため、「レンタルサーバーでドメイン(DNS)との設定をうまくおこなえていない」と、この仕組みが機能せずWebページが表示されません。
多くのレンタルサーバーが管理画面(コントロールパネル)上で簡単に設定をできるのですが、稀にそこでミスを起こしてしまい表示されないトラブルが発生します。
こうしたドメイン絡みのトラブルは、他社でドメインを新規取得した場合や、他所で取得したドメインをもともと持っていてそれを使いたい、あるいはサーバーを移転するといった時に起こりがちです。
また中には設定ではなく、そもそもドメインがそのレンタルサーバーに対応しないケースもあります。
もちろん、ビジネスで多く利用されるトップレベルドメインが非対応ということはまずありません。
しかしビジネスで使う可能性もある日本語ドメイン、たとえば「さーばー.com」といったものは、さくらサーバーでは設定はできてもサポート対象外となっています。またCPIは対応こそしているものの、制限項目がいくつかあります。
このようにドメインがサーバーに対応しない(サポートされていない)というケースも、稀に見られます。そうなるとサーバー選びから失敗してしまっているという、最悪のパターンになります。
さてWebページが表示されない際に、原因の切り分けが早急にできていないと、多くのロスが発生してしまいます。
私が知る中には、レンタルサーバー側でなくDNS側で設定をミスしているといったものもありました。
こうなるといくらレンタルサーバー側の設定を見直していても解決はできません。
もしWebが表示しないというトラブルが起きてしまったら、まずは原因の切り分けを早急におこなうようにしましょう。
2.2 SSLがインストールできない
SSLは今や必須、といった状況です。
Googleが大きく推進していることでWebサイトの制作では「常時SSL」「フルSSL」といった言葉が多く聞かれます。
問合せフォームなど個人情報を送付する、ECサイトのマイページなど限定されたコンテンツだけでなく、あらゆるページがセキュアな環境になっているのが理想的です。
このSSLについても「他社で取得する」「レンタルサーバー側で取得する」といった二通りのパターンが考えられます。
他社で取得した場合は、自分たちでサーバーへインストールする必要があります。
そして中にはインストール不可といったものもありますので、やはり事前にSSLのインストールに関する仕様はよく確認しておく必要があります。私が以前ヒヤリとしたのが、「他社で取得したSSL証明書はインストールできない」というレンタルサーバーを使った時でした。
事前に分かったのでトラブルにはなりませんでしたが、レンタルサーバーの契約とSSL取得を別の窓口で動いていたため、止めるタイミングによっては使えない証明書を取得してしまい、損を出してしまうところでした。
他の機能が非常に魅力的なレンタルサーバーだったのでそれに決めたのですが、思わぬ落とし穴がある場合もあります。サーバー選定の際に必要な項目をリストアップして、事前にチェックするようにしましょう。
まとめ
ここで挙げた怖い話は大きく二種類でした。それを回避するための方法と一緒に、最後にまとめておきましょう。
〇データ消失のリスクがある。
【回避策】
・バックアップをこまめにしておく。同一サーバー内は危険なため、物理的な別サーバーへのバックアップが望ましい。
〇ドメインやSSL証明書など、設定をミスしたり使えないものもある。
【回避策】
・設定方法をよく確認する。
・もし問題が起きたら、原因がどこにあるかの切り分けをする。
・サーバー選定時に他社取得のものが使えるかや、どういった種類のものが設定できるかを、必須で確認しておく。
レンタルサーバーの多くで、別料金でバックアップのサービスが用意されています。
またドメイン、SSLをレンタルサーバー側で取得する場合は、オプションサービスとして設定やインストールまでをおこなってくれるケースがあります。
こうしたものを活用するのも、トラブル回避の良い方法です。加えて自分たちできちんと万が一のトラブルに備えておくと、リスクは最小限に抑えられていくでしょう。