サーバー初心者がおちいる移転のトラブル(2)

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2017年2月24日 (更新日:2019年3月25日)

木下肇
木下肇

サーバーの引っ越し作業

サーバーの移転に必要な作業、簡単に見てみましょう。

レンタルサーバーでWeb・メールを利用していたとします。このレンタルサーバーを別の事業者に切り替えることにしました。
このとき要求されるのは、対外的に見て自社サーバーの動作が停止しないこと、加えて一通であってもメールデータを取りこぼさないこと、この2点が要件として挙げられます。つまりビジネスの道具であるIT(Web・メール)が停止しないようにすることでビジネスが停止しないように配慮する、ということです。
このサーバー移転作業において登場するのは切り替える対象であるWebサーバーとメールサーバーに加えて、この二者を名前解決するDNSサーバーで作業が必要になります。

移転の手順例

まず、旧サーバーとまったく同じ状態の新サーバーを構成します。
Webサーバーは同じホームページのコンテンツを複製し、Webページが旧サーバーと同じ動作であることを確認することになります。メールサーバーは旧サーバーと同じメールアカウント(メールアドレス)を全て作成し、可能であればテストメールの送受信で確認することになります。

いざ同じ状態のサーバーが新旧2台用意できたところでDNSサーバーに設定してあるレコード設定を変更することで切替を実施することになります。
切替の実施にはメールユーザーが安定して使えない時間帯が存在してしまいますのでユーザーに対する案内も必要ですね。

DNSサーバーの切替に伴い、移行期間に突入します。

このタイミングではキャッシュがクリアされるまでの間、新サーバーも旧サーバーも並行して参照されることになります。極力この時間を短くするために事前にDNSサーバーにTTL値の設定をしておくことが推奨されます。

メールサーバーの移行ではさらに、旧メールサーバーに残ったユーザー宛ての電子メールをPCで受信する必要があります。

旧メールサーバーの電子メールを全て受信し終わったところで新メールサーバーを使うための設定変更作業をユーザーのPC一台ずつ実施することで、メール環境の移行が完了します。ユーザー数が少なければよいのですがユーザー数が増えれば増えるほどこの労力は侮れない工数となっていきます。
こうして移行期間を経て、旧Webサーバーのコンテンツが参照されなくなり、旧メールサーバーにユーザー宛てのメールが届かなくなったところでようやく新サーバーへの移行が完了し、旧サーバーをたたむことができるようになります。

ユーザーからの要望

これだけ苦労して移転したサーバー、できれば長く使いたいものです。
しかし、その移転したばかりのサーバーに対して容赦なくユーザーからの要望が届きます。

移転したメールサーバーに対して、
「最近、迷惑メールとか添付ファイルにウィルス付きのメールがたくさん来るんだ。」
ユーザーからそんな要望を受けたサーバー担当者にユーザーの言葉はこう続きます。
「ちょっと設定変更してさ、フィルタしてよ、迷惑メール。」「ええ?でもプロバイダのホスティングサービスですからね。すぐには難しいですよ。」
「でもSpamAssashinとかClamAVとか無料のソフトをインストールしてちょっと設定すればできるでしょう?よろしく頼むよ。」

無理難題をさらっと言うユーザー

そう言い残して立ち去ったユーザー、後に残されたサーバー担当者は頭を抱え込んでしまいました。 かと思えばWebサーバーに対して、「そろそろ我が社のホームページもCMSでコンテンツ管理をしようと思ってね。」
「ええ?でもプロバイダのホスティングサービスですからね。すぐには難しいですよ。」「Wordpressってのインストールすればいいんでしょう?よろしく頼むよ。」
そう言い残して立ち去ったユーザー、後に残されたサーバー担当者は頭を抱え込んでしまいました。

往々にして、選定時に潜在化していた需要は実際に新環境を使い始めてから顕在化してくることが多いというシステムあるあるです。

「選定時に分かっていれば、最初から要件を満たしていたのに!」

怒るサーバー担当者

どっちも、サーバーを自社で所有していればオープンソースのフリーソフトウェアをサーバーに追加し、必要な設定を実行することで実現する事例です。ですが、レンタルサーバーは提供された状態を"使う"ことに主眼を置いて契約するサーバーなので、自社で用意するサーバーほどの自由な構成変更をすることはできません。

こういったユーザーからの要望をきっかけとするだけでなく、契約したレンタルサーバーがしょっちゅう停止して困る、やりたいことやユーザー規模拡大(社員数増加)に伴ってサーバーの性能を向上させることができない、という動機も考えられる一つの移転の要因です。

「選定時に分かっていれば、最初からそんなサービスを選定しなかったのに!」

こうして再びサーバー移転をすることになります。

きっと選定時にこう思うでしょう。
次に契約するレンタルサーバーは、未だ見ぬ要望に応えられるんだろうか?

サーバーの引っ越し作業 まとめ

データの移転作業は、すべてサーバー担当者に降りかかってきます。しかし移転したサーバーが期待通りに動くのか、将来にわたって問題なく使えるのか、選定時にしっかり選ばないとまたサーバーを選び直すことになります。

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木下肇
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東京/神奈川を中心に、都内中堅企業ではシステム部門の一員として部内インフラ業務に、別の小規模企業ではインフラ全般について管理業務の委託を受けるフリーエンジニア。オンプレミスの企業内インフラからクラウド環境のサーバー/ネットワークまで、OS守備範囲はWindowsからLinuxまで、障害の診断や修復/修理であればソフトからハードまで、幅広い守備範囲で日々お客様の業務を遂行しています。
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レンタルサーバーについて毎日考える、レンタルサーバー会社に勤める有志連合。
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