Movable Type(ムーバブルタイプ)とは、Web上のコンテンツを管理・運用するためのCMS(Contents Management System:コンテンツ・マネジメント・システム)のひとつです。主にWebサイト構築に用いられ、大企業や官公庁などの大規模サイトに多く利用されています。
一方、最近では個人でも気軽に利用できるWordPress(ワードプレス)も世界で最も利用者が多いCMSとして、高い人気を誇っています。
それでは、Movable TypeとWordPressには、いったいどのような違いがあるのでしょうか。この記事では、Movable Typeの特徴やWordPressとの違い、Movable Typeを実際に導入する手順などについてわかりやすく解説します。
これからMovable Typeの導入を検討している方にも参考になりますので、ぜひご覧ください。
目次
Movable Type(ムーバブルタイプ)とは?
Movable Typeとは、米国のソフトウエア会社であるシックス・アパート社が2001年に開発し、これまで国内の5万サイト以上に導入されている主要CMSのひとつです。
ブログ形式で簡単にコンテンツの制作・更新ができるのが特徴で、現在は最新バージョンのMovable Type 8がリリースされています。小規模ビジネスから上場企業の大規模サイトまで、さまざまな規模のサイト構築に利用されています。
Movable Typeの主な特徴は、次の5つです。
- セキュリティ対策を強化しやすく、大企業や官公庁、教育機関などでの導入実績が多い
- 静的サイトが構築できるためサイト表示速度が速く、アクセスが集中しても安定した運営が可能
- HTMLと専用のテンプレートタグで、高度なプログラミング知識がなくても効率的にサイト構築ができる
- 柔軟なカスタマイズが可能で、サイトの用途や規模に応じて最適な料金プランから導入できる
- シックス・アパート社の公式テクニカルサポートが受けられる
Movable Typeはセキュリティ面での信頼性が高く、サイト運用後のサポートやメンテナンスなども充実していることから、安定したサイト運営を行いたい方に選ばれています。
国内では、日経平均株価構成銘柄225社のうち54%、東証プライム企業2171社のうち35%、国立大学86校のうち81%などの導入実績(2020年5月時点調査)を誇り、その信頼性の高さがうかがえます。
それでは次に、Movable Type とWordPressとの違いについて見てみましょう。
Movable TypeとWordPressの違い
Movable TypeとWordPressの違いには、大きく次の5つがあります。
- オープンソース(無償)かライセンス購入(有償)か
- ひとつのCMSで複数サイトが構築可能か
- 静的サイトと動的サイトの違い
- プラグインの数や拡張性の違い
- サポート体制の有無
以下に、詳しく見ていきましょう。
1.オープンソース(無償)かライセンス購入(有償)か
まず、オープンソースかライセンスであるかという違いがあります。WordPressはソースコードがすべて公開されている「オープンソース」であり、レンタルサーバーがあれば基本的に無償でインストールできます。
Movable Typeは、個人利用は無償ですが、商用利用は有償で「ライセンス」を購入しなければなりません。ライセンスはソフトウエア版(サーバーインストール型CMS)の場合、99,000円(税込)です(2024年8月1日時点)。
Movable TypeとWordPressでは、サイト構築時の初期費用がかなり変わるため、事前の予算計画が大切です。
2.ひとつのCMSで複数サイトが構築可能か
Movable Typeは、ひとつのCMSで複数サイトを構築できるのが大きな特徴です。
原則として、WordPressは1個のデータベースに1サイトしか構築できません。しかし、Movable Typeでは、1個のデータベース上に複数のサイトやWebページを構築できるため、ページ数の多い大規模サイトや複数サイトの一括運営に適しています。
ひとつのCMSで運営できるため、管理の効率化やコスト削減にもつながります。
3.静的サイトと動的サイトの違い
WordPressは仕様上、動的サイトしか生成できませんが、Movable Typeは静的サイトと動的サイトを両方生成できる点が大きく異なります。
静的サイトとは、誰がいつアクセスしても毎回同じコンテンツが表示されるサイトのことで、主にHTMLファイルで構成されています。一方、動的サイトとは、ユーザーの属性や行動履歴などさまざまな条件によって、データベースから必要なデータを毎回取得して表示させるサイトのことで、主にJavaScriptなどで構成されています。
一般的には、Movable Typeの静的サイトの方がサーバーへの負荷がかからず、サイト表示速度も速いです。また、データベースを使用する頻度も低いため、セキュリティ対策もしやすいというメリットがあります。
4.プラグインの数や拡張性の違い
プラグインの数は、圧倒的にWordPressの方が多く、拡張性も優れています。WordPressはオープンソースで、世界中の利用者がカスタマイズや開発をしていて、多くのプラグインが提供されているからです。しかし、プラグインの脆弱性(セキュリティ上の欠陥)が生じやすく、セキュリティ面のリスクも伴います。
一方、Movable Typeはプラグインが少なく、有償であるものが多いです。しかし、提供されているプラグインの多くが公式プラグインまたはシックス・アパート社によって事前に動作検証されたプラグインであるため、脆弱性が生じにくいという特徴があります。
5.サポート体制の有無
Movable Typeは「商用パッケージ型CMS」として有償で提供されているため、シックス・アパート社による公式のテクニカルポートやメンテナンスが受けられるのも大きなメリットです。
WordPressは基本的に有志によるサポートサイトやフォーラムで情報提供されていますが、公式のサポートサービスはありません。しかし、Movable Typeは公式テクニカルサポートが受けられるため、安心してサイト運営が可能です。
Movable Typeを使うならコスト削減できるレンタルサーバー選びを
Movable Typeは、WordPressにはない特長や機能も多くあります。「将来、大規模なサイトを運用したい」「大量アクセスにも強く安定したサイトを運営したい」という場合には、Movable Typeの導入を検討してみることをおすすめします。
しかし、導入の際に最も大きなネックとなるのが、やはり初期費用や運用コストの問題ではないでしょうか。予算との兼ね合いで悩んでいる方も多いことでしょう。
そこで、そのような方にご提案したいのが、「Movable Typeライセンス」の無償提供しているレンタルサーバーを利用することです。
通常、Movable Type(ソフトウエア版)の商用利用には、ユーザー無制限のライセンス料(99,000円)がかかります。一般的には、Movable Type対応レンタルサーバーでも、ライセンス料は別途購入が必要なものが多いです。しかし、レンタルサーバー「iCLUSTA+ byGMO(以降、iCLUSTA+)」では、商用利用可能な「Movable Type ライセンス(1ユーザー版)」が無料で使用できます。
iCLUSTA+の「レギュラー」または「プロ」プランを契約すれば、契約期間中はずっとMovable Type 商用ライセンスにて、最新バージョン(2024年8月時点ではMovable Type 8)が利用できます。
※ミニプランは有償(初期費用1,100円、月額料金1,100円)となります(2024年8月時点)。
導入後のアップデートや技術的なサポートについても、「年間メンテナンス」のオプションを追加することで、シックス・アパート社の公式サポートを受けられるため、安心して運用できます。
それでは実際に、レンタルサーバーiCLUSTA+の「レギュラー」プランで、Movable Typeを導入する手順について、わかりやすくご紹介します。
iCLUSTA+でMovable Typeを導入する方法
iCLUSTA+にMovable Typeを導入する手順は以下の通りです。
- Movable Typeのインストール準備(データベースの追加)
- Movable Typeをインストールする
具体的な手順について、操作画面を使いながら説明します。
1.Movable Typeのインストール準備(データベースの追加)
まず、Movable Typeのライセンスおよび年間メンテナンスを追加しておきましょう。
次にコントロールパネルにログインします。
コントロールパネルの左メニューの「データベース」にアクセスし、「インスタンス新規追加」をクリックします。インスタンスとはデータベースを格納する箱のようなもので、iCLUSTA+では1インスタンスにつき、10個のデータベースが作成できます。
以下のようなインスタンス設定画面が表示されます。設定項目は以下の通りです。
設定項目
- バージョン
- MySQLのバージョンを選択します(最新バージョンを選択する)
※記事執筆時点のバージョンはMySQL 8 - パスワード
- 任意のパスワードを設定します(セキュリティの高い「パスワード自動生成」がおすすめ)
- コメント
- インスタンス管理用のコメントを任意で入力します(空欄でも可)
- 契約者/ドメイン管理者
- 「サイト管理者も利用可能」に任意でチェックを入れます
※「データベース新規追加」の欄は、後で設定するので空欄で構いません。
以下の画像のように設定するとよいでしょう。
設定を終えたら「保存」をクリックします。これで、Movable Typeをインストールする準備が完了です。
2.Movable Typeをインストールする
それではいよいよ、Movable Typeをインストールします。コントロールパネルを開き、「ダッシュボード」の右下にある「Movable Typeインストール」をクリックします。
(左メニューの「アプリケーション」 ⇒ 「アプリインストーラー」 ⇒ 「インストール設定に進む」でもOK)
すると、次のようなインストール設定画面が表示されます。インストール設定項目は、以下の通りです。
設定項目
- 公開先URL
- Movable TypeのサイトURLを入力します。このURLはディレクトリーとも呼ばれ、サーバー上でMovable Typeのサイト情報を保管する場所になります。任意の英数字を入力しましょう(例:blogなど)
- データベース選択
- 「インスタンス」は先ほど作成したものを選択、「データベース」は「新規データベースを作成」を選択します
- データベース名
- 「新規データベースを作成」を選択すると空欄が表示されます。ここも英数字でわかりやすいデータベース名をつけましょう(例:blogなど)
- 連絡用メールアドレス
- パスワード再設定や新着コメントなどをお知らせするメールアドレスを設定します。大切なメールを見逃さないように、普段からよく使用するメールアドレスを設定しておくとよいでしょう
- 利用規定
- 「承諾する」にチェックを入れます
実際に設定項目を入力すると、以下のようになります。設定方法がわからない方は、参考にしてください。
設定を終えたら、「インストール開始」をクリックします。
指定したディレクトリーにMovable Typeのインストールアプリケーションが設置されます。
続けて「初期設定に進む」をクリックします。
Movable Typeのセットアップ画面が表示されるので、「Movable Typeにサインイン」をクリックします。
以下の項目を設定し、Movable Typeのアカウントを作成します。
設定項目
- ユーザー名
- Movable Typeの管理画面にログインするためのIDを設定します。任意の英数字を入力しましょう。ユーザー名は後から変更も可能です
- 表示名
- サイトのタイトルを設定します(後から変更も可能)
- 電子メール
- Movable Typeで使用するためのメールアドレスを設定します。特に理由がなければ、先ほど設定した「連絡用メールアドレス」と同じアドレスでよいでしょう(後から変更も可能)
- 使用言語
- 使用する言語を6か国語の中から選択します。日本語サイトなら、「日本語」を選びましょう
- パスワード
- Movable Typeの管理画面にログインするためのパスワード(8文字以上)を設定します。ユーザー名やドメインなどから連想されないようにランダムで強固なパスワードを設定することをおすすめします
- パスワード確認
- 上記で入力したパスワードを再度入力します
設定が終わったら、「インストール」をクリックします。
データベースが初期化されて、次のような画面が表示されたら、インストール完了です。さっそく「Movable Typeにサインイン」をクリックしてみましょう。
サインインすると、次のような管理画面(ダッシュボード)が表示されます。
以上で、Movable Typeを無事導入できました。最初は難しく感じるかもしれませんが、上記の手順通りに行えば、5~10分ほどで設定が可能です。
これからMovable Typeを導入したい方は、ぜひ参考にしてください。
サイトの用途や規模・予算に応じて最適なCMSを選ぼう
この記事では、Movable Typeの特徴やWordPressとの違い、具体的な導入方法について解説しました。Movable TypeとWordPressは多くのサイトに利用されている人気CMSですが、どちらを使うべきかについては、サイトの用途や規模、予算などに応じて変わります。
ページ数の多い大規模サイトや大量アクセスにも強く安定したサイトを運営したいなら、Movable Typeは一つの有効な選択肢です。導入の際には、Movable Typeのインストール機能がついているレンタルサーバーを活用すると、より効率的にサイトが構築できます。