「レンタルサーバーを選ぼうと思いますが、どれがいいですか?」
こう聞かれたとき、どう答えるでしょうか?
もしくは自分がレンタルサーバーを選定しなければならない状況になったら、どうやって探しますか?
目次
サーバーの選び方ポイント①「長く付き合えるかどうか」
選ぼうと思ったときに概ね数値化されている"スペック"と"料金"に目が行ってしまい、単純なスペックと費用の比較から始めてしまうのではないでしょうか?
確かに費用は重要ですし、Webサイト運営上、動画コンテンツを多用するのであればディスク容量は気になります。電子メールを保管できる容量としてもディスク容量は重要です。
だから、こういった性能比較ができる「レンタルサーバー比較サイト・ブログが溢れているのです。
しかし、費用と性能だけで比較してしまっていいのでしょうか?それを判断する前に“もう一歩踏み込んで“レンタルサーバーの選定ポイントを調べてみましょう。
「サーバーの乗り換え」は甘くない
多くの人は検討の段階で「このレンタルサーバーを何年使おうか」を考慮することはあまりありません。
しかし、契約するレンタルサーバーが長く使えることは、契約後の運営に大きく影響を及ぼすことになります。
サーバーの乗り換えは影響範囲が広範囲な切り替え作業を発生させるためです。
と、いうのも、レンタルサーバーにホストすることが多いサービス「Webサーバー」「メールサーバー」は乗り換えに伴うサーバー移行に膨大な時間を要するためです。
いずれもDNSサーバーでホスト名に割り当てているIPアドレスを変更することによって切り替えることになります。特にメールサーバーの移行は、移行元のメールアカウント情報を移行先に全て生成し切り替えを実施しますが、メールユーザーの受信した既存メールが移行元メールサーバーに一通も残らないよう、環境によってはパソコン一台一台で操作を実施し移行を完了させる必要があります。
こうなるとユーザー数分だけ工数が増えてしまうことになります。
つまり、頻繁にレンタルサーバーを乗り換えることを前提としたレンタルサーバーの選定を実施するということは、乗り換えに伴う切り替え作業を頻繁に実施することにつながるため、非効率な運営を招くことになります。
では、性能比較以外にどんなポイントに着目して選定すれば非効率な運営を排除できるでしょうか。
それには「性能では見えないスペック」に着目して長期に渡って利用可能なレンタルサーバーを選定する、というポイントも重要になってきます。
選び方を誤ると、乗り換えに伴う切り替え作業が発生し、結果的に非効率な運営を招くことになります。
長期にわたって利用できるサーバー選びが必要です。
サーバーの選び方ポイント②「24時間365日稼働(耐障害性)」
レンタルサーバーを契約するときに、「レンタルサーバーなら24時間365日動作して当たり前」という考えのもと契約していませんか?
会社内に設置する目的でサーバを購入するときはこの24時間365日の稼働を確保するために、ハードディスクをRAID構成にしたり、NICや電源ユニットを冗長化したりして故障に備えます。こういった、障害発生時でも稼働を継続できるように事前に対策しておくことで、「サーバの可用性を向上させる」ことが一般的です。
しかし、レンタルサーバーを契約するときに、こういった「可用性」「安定性」に注目することも、世の中の比較サイトで注目されることはほとんどありません。比較が難しいから実際に契約して使ってみないと分からない」と結論付けてレンタルサーバーの選定を済ませてしまうのは早計です。
費用&スペック比較でレンタルサーバーを契約してしまった場合、契約時には見えなかった安定性に不満をもったユーザユーザーが契約中のレンタルサーバーを解約し別のサービスに乗り換えることになります。
これはレンタルサーバーの解約理由のトップ3に必ず「サーバの稼働率」を理由に挙げられていることからも窺い知ることができます。
そのレンタルサーバーが安定しているかは「安定しないサーバーによって実際に不利益を被った」経験の積み重ねによってしか知ることができないためです。
誰もが「稼働して当たり前」と思う、ことの罠
我々が日常で、「電気を使うときに停電しているかどうか気にしない」「水道の蛇口をひねるときに断水かどうかを気にしない」のと同じく、「URLを指定してWebサイトを閲覧した時にWebサーバーが動作しているか気にしない」「電子メールを送信するときにメールサーバーが動作するかどうかを気にしない」つまり「サーバーが今動作しているかどうか」をユーザーは全く気にすることなくITという道具を利用していることになります。
いざ生活インフラに停電や断水が起きれば非常に不便な時間を過ごすことになります。サーバーもこれと同じく障害が発生すればユーザーに不便を強いることになりますが、企業の顔となるWebサイトが閲覧できないことによるイメージの悪化や、電子メールが不通となる機会損失などの損失も見過ごせないポイントになります。
「我が社のレンタルサーバーはこれくらい安定しています。」これを具体的に数値で示す指標は直接的にはないといえます。しかしよく探すと、この安定性や可用性を指し示す情報は探せば存在していることが分かります。
レンタルサーバー各社のなかで、「耐障害性・安定稼働」に優れたレンタルサーバー「iCLUSTA+」があります。 レンタルサーバー業界では最古参にあたるGMOクラウドが提供するサービスです。
通常、契約者からのクレームを避けるあまり「安定稼働」対して踏み込んだ表記を避けるサービスは多いですが、 その中にあって「iCLUSTA+」は過去の稼働実績を2012年より毎月表記している点で異色の存在といえます。「安定稼働を具体的に数値で示す」という点では、契約の際の参考数値になるのではないでしょうか。
レンタルサーバーを比較検討する際に、カタログスペック以外に、稼働率やSLA(Service Level Agreement)に着目してみましょう。
もし、100%でなくても最低限99.9%以上、より安定性を考慮すれば99.95%を明言しているレンタルサーバーを選定の基準としたいところです。
99.9%であっても時間に直すと24時間×30日間=720時間のうち43.2分、年間通して考えると「43.2分×12カ月=518.4分≒8時間程度」稼働が保証できない部分がある、ということが言えます。
日中8時間に集中して停止が発生してしまう可能性もあるとなると、企業で利用するサービスとしては疑問が残ります。
これが99.99%になるとこの10分の1になるため年間51.84分となり一時間以内に抑えることになります。
一見すると格安に見えるレンタルサーバーにはこのSLAや稼働率が明記されていないことも多くあり、まさに価格だけでは見えない要素となっています。
冒頭に戻ります。「レンタルサーバーなら24時間365日動作して当たり前」という考え方はレンタルサーバーを選定するときには前提としないことが必要です。
自分でOSやプログラムを管理しないがゆえに、契約したレンタルサーバー事業者の専門家がサーバー管理をしてくれている、だからこそ24時間365日稼働して当たり前、という前提で考えがちです。
しかし、ITを支えるコンピュータは完全無欠とはいきません。バグや故障によって障害は必ず発生する、という前提で運用をする必要があります。
サーバーの選び方ポイント③「いざという時のサポート体制」
レンタルサーバーはあくまで契約した側が自分で管理作業をしない(できない)だけで、実際には故障も起こればソフトウェア障害も起きているのですが、使っているうえでそれが見えなくなっているというだけの話だと認識しておき、どのレンタルサーバーなら障害が発生した時の影響が最小限に抑えられるのか、を見極めることがサーバ選定の基本である「耐障害性」を考慮することになります。
社内にハードウェアを設置するときのサーバーは可用性を考慮・重視するのに、レンタルサーバーで可用性を考慮・重視しない、というのは片手落ち、ぜひレンタルサーバーでも可用性を比較検討して、電気・水道のような意識しなくても稼働するレンタルサーバーを選定したいものです。
解約理由の上位に「サーバー稼働率」は必ず挙げられます。
契約時には見えづらいだけに、失敗から学ぶことが多くなります。そうならないために、稼働率やSLAにも注目してください。
契約しようとしているレンタルサーバーはどんな技術サポートを提供してくれますか?
レンタルサーバーは近年価格競争が激しくなってきています。
安いサービスで一番価格差がでるのは、そのサービスに掛かる人件費であり、レンタルサーバーサービスでは「電話サポート」「夜間・休日サポート」に差が出てきます。
冒頭の「レンタルサーバーの技術サポートはどうなっているか?」これも契約前に確認して比較検討しておきたい項目の一つです。
このレンタルサーバーを契約した後のことを二種類の使う人別に考えてみましょう。
①システム専任ではなく兼務の管理者
レンタルサーバーを契約する場合、企業内には専門の技術者が居ないケースが多くあります。小規模の企業であれば総務部や人事部の他業務と兼務でサーバーを手配し稼働させていることが多くあります。
そう言った兼務のサーバー管理者は、別の専門業務を抱えているうえで、片手間にサーバーの管理を実施していることが多くあります。専門外かつ片手間で済ませなければならない業務に対して、しっかりと勉強したり知識を蓄えたりするのは大きな負担です。
自分の知識には限界があり、自分で調べるにも限界がある、このような状況で頼るのは、レンタルサーバー契約に含まれる電話・メールを使ったサポートサービス頼みになります。
しかし、このサポートが"期待できないサポート"だった場合どうなるでしょうか?
自分でも分からない、社内に分かる人も居ない、サポートも力にならない、となるとそのうち行き詰ってしまうことになります。
②システム専任の管理者
レンタルサーバーを契約するとき、専任の管理者がいてもレンタルサーバーを契約するほうがコストパフォーマンスに優れるケースは多くあります。
これは専任の管理者が居ても専用の設備投資に費用を割くよりレンタルサーバーで賄える機能はレンタルサーバーの契約で済ませたほうが安価に済むことが多いためです。
これによって多くの企業ではレンタルサーバーを採用しています。
専任の管理者は知識があるので、サポートに期待しなくてよい、というのは早計です。「自社業務に合わせてサポートを受けることができるか」も重要になってきます。平たく言えば、休日や夜間にそのレンタルサーバーのサポートを受けることができるか、が確認したいポイントです。
もし休日や夜間にレンタルサーバーに関連する作業で問題や疑問が出てきた場合、そのレンタルサーバー事業者に問合せして回答を得られるでしょうか?
専任の管理者からすると、先送りできる事案もあれば発生したタイミングで解決しておかなければいけない事案もあります。
もし先送りが難しい事案に休日・夜間遭遇してしまったとき、自分の力でどうにもできないレンタルサーバーのサポートが期待できない場合には困ったことになります。
③サポートが必要なときに「サポートが休み!?」では困る
ここまで、二種類のレンタルサーバー契約者についてみてみました。いずれの場合でもスキルや知識の多寡と関係なくサポートサービスに期待しなければならない状況がレンタルサーバーを利用する上で存在していることが分かります。一番重要なレンタルサーバーの動作が不調になった時を考えてみましょう。まず連絡先があるかどうか、です。
そして、その連絡先はメールだけなのか、電話のようなリアルタイムなやり取りができるか、も障害時には重要となります。
そして用意された問合せ窓口の時間帯も重要です。
営業時間内である平日10:00~18:00という日中時間帯がサポート窓口の受付時間帯となっており、時間外や休日の応対ができないレンタルサーバー事業者も多くあります。
サービスを比較するときによく確認すると、サポートが平日10:00~18:00しかないサービスと24時間365日提供されるサービスがあることが分かります。
また24時間365日がオプションで別途契約が必要なサービスであることもあります。
契約時に「サポートに問合せすることはない」と思っていても、サーバーの運用上サポートに問合せする可能性はあります。その時にがっかりしないためにも「契約しようとしているレンタルサーバーにはどんなサポート体制が用意されているか」を比較検討しておくことも重要なポイントの一つとなります。
サーバー管理者が「システムの専任者」か「他業務の兼任者」か、いざというときに柔軟に対応できるように、どんなサポート体制が用意されているのか確認しておく必要があります。
ここまで「見えないスペック」をご紹介しました。まとめると以下のようになります。
- 安定性を手に入れる
- 契約したサーバーに障害や問題が起きにくい耐障害性に注目
- SLAや稼働実績に注目し、どれだけ安定性に力を入れているサービスかを見極める
- 頼れるサポートサービスを手に入れる
- 障害時に迅速に連絡を取れるサポートサービスか
- 操作上・運用上の不明点に明確に回答できるサポートサービスか
- まだ顕在化していない自社の需要を満たせる
コストとのバランスがとれた自社で長く使えるレンタルサーバーを選定したいものです。そのためには、数字に表れる安価な費用や高いスペックだけではなく「見えないスペック」が満足度に寄与するという点も考慮しておきたいポイントになります。